メキシコ人が繰り出す
“恩着せ”のタイミング
筆書「現役通訳夫婦が見たメキシコ自動車産業と今後」では多くの共感・納得の声を頂いていますが、本シリーズは著書に書き切れなかったこぼれ話&メキシコ人向けの内容でお届けしていきます。
第5回目は「仕事における恩着せがましさ」です。ある日の事、部下の手配が納期に間に合わないトラブルが起きました、本人は初めての業者に対して適切にフォロー(管理)が出来ていなかったのです。
本人の為にと心を鬼にしてキツく叱ったら「私は今まで貴方のお願いを優先的に取り組んで、残業や休日出勤もこなしてきた。なのに1回ミスしたぐらいで何よ」という回答が返ってきたのです。そこで思い出したのは、「それはそれ、これはこれ」と、それぞれを区切るのが日本人、「過去を累積して考える」のがメキシコ人だという事。
そして今回のように窮地に陥ると「過去の恩」を小出しにして温情処置を引き出そうとする人が多いです。何故かというと、お願い(残業命令等も含む)を聞いてあげる代わりに何か見返りを求める事は当然という文化が根付いているからです。分かりやすい例でいうとチップですが、仕事上では「いざという時の温情返し権利」を貯めていっているのです。「何々してあげたのに」、今日もそんな会話が聞こえてくる気がします。