アパセオ・エル・グランデに位置する世界最先端の自動車工場であるトヨタ・グアナファト工場で、北米の自動車市場向けにピックアップトラック「タコマ」を生産する。
米国で販売台数上位を占めるピックアップトラックの生産がグアナファトで開始します。最新技術と業務の効率化に取り組むことで、グアナファト工場では年間10万台が生産される予定です。
トヨタ・グアナファト工場のフアン・フランシスコ・ガルシア・ロペス社長はココ・メキシコの単独インタビューで、工場の操業開始、社員研修プログラム、そして社内での日本人・メキシコ人社員の適応について話してくださいました。
1. このグアナファト工場が世界中にある他のトヨタ工場と違う点について教えてください。
トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・デ・グアナファトは革新的な生産技術を導入して設計・建設されており、製造過程において省エネや水の効率利用を促すシステムを取り入れています。例えば過程で使用した80%の水は浄化システムを経て再利用され、高度な排水処理システムで周辺の環境に気を配っています。
2.グアナファト工場でタコマモデルを生産するに至った経緯は?
北米市場では年々この種のトラックに対する需要が高まっているため、それに対応した結果です。タコマは北米で最も販売数の多いピックアップトラックなので、効率的かつスピーディーに生産していかなければなりません。
3. ピックアップトラック1台の生産に要する時間は?
現時点ではまだ工場も調整稼働中ですが、徐々に生産台数を増加しながらフル稼働させていきます。グアナファト工場の年間生産可能台数は10万台で、2021年も同様の生産目標を掲げています。
4. 直接、及び間接雇用者の数は?
現在グアナファト工場には1000名の社員が勤務しており、組み立て、塗装、プラスチック成形、品質管理、塗装、プレスなどの製造部門と、事務職などをそれぞれ担当しています。
また間接雇用に関しては、サプライヤーや関連業者を含め約1万人の雇用を創出しています。
5. そのうちメキシコ人従業員の割合と役職は?
社員の大半は近隣在住のメキシコ人です。60%はセラヤ、そして40%はアパセオ・エル・グランデ、又はその周辺の農村出身者です。日本人とアメリカ人の割合は全体の4%程度です。
6. この規模の工場を建設するための投資額は?
約7億ドルです。
7. メキシコで操業を開始するにあたって直面した問題は?
一番の課題は取決め通りに2019年末に稼働開始させることでした。従業員を始め、多くの関連企業の皆さんのプロフェッショナルな姿勢と努力のお陰で、高度な技術とメキシコ人作業員の手でグアナファト工場最初のタコマ車生産が可能になりました。
8. トヨタ工場の他の海外生産拠点は?
北米(メキシコ、アメリカ、カナダ)には製造事業体が14ヶ所あり、他国にも様々な地域に拠点を構えています。
メキシコにはバハ・カリフォルニア工場とグアナファト工場の2拠点でタコマモデルを生産しています。
9. メキシコ人社員の研修や日本人社員との人間関係の適応プロセスはいかがでしたか。
従業員全員が最高水準の安全性と品質管理を目指し、それぞれの製造過程で必要な技術トレーニングを受けました。トヨタの研修プログラムでは、従業員各々が自主的に考え進歩する人づくりや、常に組織を進化させていく「カイゼン」という概念などの基本理念を学びます。
10. トヨタは投資の磁石のように次々に自動車関連会社を引き付けていますが、今後何社くらい関連日系企業が進出してくると予想しますか。
2003年のトヨタメキシコ操業開始以降、北米地域での戦略としてサプライチェーンを発達させてきました。グアナファト州内だけでもサプライヤー企業は約240社あります。
11. トヨタと同じ地域に拠点を置く他の日系自動車メーカーとの関係性は?
トヨタは新工場建設に関して、常にその地域と良好な関係を築くことを心がけています。今回に関してはグアナファト州そしてアパセオ・エル・グランデ市、更に周辺企業とも協力し合い、地域や住民の方々のプラスになるようなプロジェクトに参加していきたいと思っています。
12. グアナファト州の自動車産業は今後どう展開していくでしょう?
トヨタはグアナファト州に進出し、この地域の発展に貢献できることを非常にうれしく思っています。
今後もメキシコへの投資、生産、そして雇用創出などの計画を継続していく意向です。
13. トヨタの企業理念とは?
企業理念の2つの柱は「知恵と改善」と「人間性尊重」です。この理念をメキシコ、そして全世界のトヨタで働く人々が共有し、実践しています。