広島県とグアナファト州との関係は、マツダのグアナファト州への進出を契機に、より強固な関係になってきています。2012年9月には、当時、マツダの代表取締役副社長執行役員をされていた金井誠太氏がメキシコ政府より在広島メキシコ合衆国名誉領事に任命され、2013年2月に広島大学工学部とグアナファト大学工学部が交流協定を締結してからは、広島大学ではグアナファト大学の留学生を受け入れています。そして、この年の11月には、ミゲル・マルケス・グアナファト州知事(当時)が広島県を訪問し、湯﨑英彦広島県知事との間で経済交流協定の締結を行いました。
翌年2014年11月には湯知事が県議会議員団とともにグアナファト州を訪問し,交流分野を更に広げる友好提携を締結してからは、毎年、交換留学生として高校生数名を相互に派遣している他、文化使節団の相互派遣を行っています。
2015年6月には、広島県や広島県議会、広島県商工会議所、広島大学、企業、テレビ局、関係団体から構成される広島グアナファト親善協会が設立され、今まで、広島県とグアナファト州の親善交流のための事業に対し様々な支援を行っています。
グアナファト州では、日本から学ぶことが多くあり若い人に日本を知ってもらおうという観点から毎年20名から30名の高校生・大学生を「日本に行こう」プログラムにより約10日間、日本に派遣しています。このプログラムでは参加学生は必ず広島県に立ち寄り広島県知事にお会いしています。また、毎年、広島県からはシェフ3人をグアナファト州に派遣し、広島フードフェスティバルを開催し日本食を紹介しています。その他、東京オリンピック・パラリンピックでは、広島県1県で全てのメキシコの代表団チームを受け入れるホームタウンとなっています。
2019年7月には、湯﨑知事が県議会議員団とともにグアナファト州を訪問し、ディエゴ・シヌエ・グアナファト州知事との間で友好連携協定締結5周年を記念するとともに,広島県とグアナファト州との間でスポーツ交流提携及び議会友好提携の各々の覚書を締結しています。
このように、広島県とグアナファト州との関係は、人物交流や文化交流だけではなく、スポーツ交流や議会交流等幅広く交流の場を広げています。
私がレオンに着任してから1年9か月が経過しました。この間、各州の政府要人、大学、民間企業、団体等多くの方とお会いし、日本への関心や期待の高さを感じました。
グアナファト州では、2011年、日本人居住者は201名、進出日本企業数は14社でしたが、2018年には、日本人は2362名、進出企業数は279社に達しています。同州では、人口600万人のグアナファト州に居住する2300人余りの日本人のためにグアナファト州内の交通標識、グアナファト国際空港や州議会議事堂、メトロポリタン公園の案内標識、レオン動物園の動物標記には日本語が併記され、また、グアナファト州緊急管制センターでは24時間日本語で対応できるジャパン・デスクが設置される等日本人に配慮した対応をしてくださっているのを目にしました。誠にありがたい限りです。グアナファト州では幼稚園から日本語を学ばせている学校もあるように日本語学習熱が盛んな地域です。毎年、メキシコ日本商工会議所が開催している日本企業の就職フォーラムには、今年は日本企業への就職を希望する1000名を越えるメキシコ人の方が来場しました。2015年から毎年実施されているマツダ駅伝大会には、地域住民の方や企業関係者約3000人が参加し、日本人とメキシコ人の方の友好を深める場となっています。レオン市、イラプアト市、セラヤ市、グアナファト市、サルバティエラ市では、日本祭りを開催し多くのメキシコ人の方が来場しています。
日本もグアナファト州への関心が高くなっています。2018年には、岡本三成外務大臣政務官、衆議院米州各国議会制度等調査議員団が、2019年には、日本商工会議所の経済ミッション、遠藤利明衆議院議員をはじめ4名の衆議院議員がグアナファト州に来訪されました。同年4月には、イラプアト市内にグアナファト日本人学校が開校し、今後、更に日本人の増加が見込まれます。
このようにグアナファト州と広島県そして日本との関係は、年々相互理解を深め益々強固になっていると感じており、そんなグアナファト州に勤務していることを幸せに思っています。