グアナファトにあるこの小さな町は、その昔ながらの美しさから3か月前に正式に承認を得ることとなった。保存状態の良い遺跡、伝統工芸品であるモルカヘテ(すり鉢)、歴史ある建築物、宗教的行事、そして原住民文化など、この町の数々の魅力的な点が考慮され、昨年10月に国政府より「魅惑の町」(プエブロ・マヒコ)へと認定された。
先住民時代の伝統は今も受け継がれており、コモンフォートでは「トルティージャス・セレモニアル(儀式の)」と呼ばれる、古代形象で様々な色が組み込まれたトルティージャが食されています。サルサを作る際に使用される、石でできたプレヒスパニック時代の道具、「モルカヘテ」を製作している工房もあちらこちらに見られます。また、宗教的儀式を行う先住民の衣装を着た踊り子たちも町で頻繁に目にすることができ、コモンフォートはメキシコ文化の宝庫と言えます。
歴史深い町であるこの地には、5つの遺跡が残されています:ロス・モラレス、ラ・オルドゥニャ、マードレ・ビエハ、ペニョン・デル・メコ、そしてロス・レメディオです。2500年前にチュピクアロ文化の先人が定住していたロス・レメディオス遺跡の復旧作業が現在行われています。
コモンフォートは、セラヤから車で10分、サン・ミゲル・デ・アジェンデからは20分の場所に位置しています。
植民地時代には宗教に関連する祭祀や宗教行事が生活の中心でしたが、コモンフォートでは現在でもこのような慣習が継承されています。
先住民時代からの宗教所は50カ所にも上り、最も美しい教会はセントロ地区にあるサン・フランシスコ教会です。
コモンフォートを訪れた際に見逃せないのは、プレヒスパニック時代から使用されている調理器具、モルカヘテの制作過程を見学することです。また、ヨシ(イネ科の多年草)から作られた籠(カゴ)や、真鍮でできた装飾品などの工芸品も製作されています。
また、伝統文化を重んじると同時に、地域の産業発展にも取り組んでおり、日系企業を含む自動車産業がコモンフォートにも進出を始めています。
今回は静かで伝統的なこの町について紹介します。
モルカヘテス
サルサを作るために使用される調理器具で、溶岩で出来ている。コモンフォートの工芸職人によって丘の頂上から溶岩石が運ばれ、手彫りされる。
モルカヘテに使用される溶岩石の特徴は白い斑点が見られることで、その斑点はミネラル塩であり、モルカヘテを擦りながらサルサを調理する際に独特の風味が加わる。
溶岩の抽出作業
職人は丘の頂上にある鉱山まで歩いて行き、ダイナマイトで岩を取り除き、小さな岩石へと砕いていく。全て手作業で行われ、先の尖った巨大ハンマーを用いて岩を叩いていく。
ソリア:地域に貢献した企業
コモンフォートにはカシミレス・ソリアという、国際的にも高品質のウールを扱う地元産業がある。
ソリアは1918年からコモンフォートの旧アシエンダ跡に設立され、従業員はこの工場の近くに住居を建設し家族で代々工場勤務を行うなど、一つのコミュニティとして成り立っている。
ソリアは産業革命時代の名残が残る繊維工場として観光地にもなっており、更に現代のファッションを促進すべく、有名アパレルメーカーのトミーヒルフィガー、ジバンシー、そして日本のハイブランド高島屋などにカシミヤ生地を提供している。
ソリアを訪問の際に現地でカシミヤ製品を購入することもできる。
鉄道遺産
コモンフォート駅は旧メキシコ国鉄メキシコシティ−ラレド(タマウリパス州)路線上に建設された。この路線工事は1880年9月13日に行われ、駅はチャマクエロと名付けられた。
現在でも鉄道は運航しており、国の中心部と北部を結ぶ重要な手段となっている。
今日、旧鉄道駅はメキシコ国立芸術院(INBA)の校舎として使用されている。
マラビス工業団地
コモンフォートにあるマラビス工業団地は、セラヤから25分、サン・ミゲル・デ・アジェンデから15分の場所に位置する。1500万ドルが投資され、15社が進出、5000人以上の雇用が創出された。
マラビス・グループは2003年からグアナファト州で事業を展開しており、現在イラプアトにあるカストロ・デル・リオ、アバソロにあるマラビス、そしてコモンフォートのマラビスと3つの工業団地を含む675ヘクタールを所有している。
日系企業の顧客では、トヨタ、豊田合成、フコク、日立、不二工機、フジシール、そして高松メッキなどを含む。
宿泊場所
View Hotel Boutique
(ビュ−・ブティックホテル)
Principal Norte #57, Comunidad Don Juan Xido de Abajo, San Miguel de Allende, GTO, 37886
Vistahermosa:(ビスタ・エルモサ)
Principal Norte No. 64, Comunidad Don Juan Xido de Abajo, San Miguel de Allende, GTO, 37886
Casa de la Montaña(カサ・デ・ラ・モンタニャ)
Calle Principal Norte No. 56, Juan Xidocabras, Juan Xido de Abajo, San Miguel de Allende, GTO, 37886
郷土料理
- トルティージャス・セレモニアル
- テジェス家のシャーベット
- チャラムスカス(飴)
- 砂糖菓子
- カボチャの甘露煮
- チラカヨテ(瓜科)
Molcajete(モルカヘテ): 溶岩石でできたプレヒスパニック時代の調理器具で、サルサ作りに使用
Metate(メタテ): 四角い石皿で、トウモロコシやモレ(メキシコ伝統料理)の材料ををすりつぶすために使われる。
Carrizo(カリソ): ヨシと言うイネ科の多年草の細長い茎を乾燥させたものを使い、カゴなどが作られる。