混乱したメキシコ政府は、テスラ工場の誘致を巡って争うという醜い論争を展開した。実際のところ、テスラ社の担当者と直接交渉を行ったわけでもない。テスラ社の幹部から具体的な提案を受けていない段階で、メディアの前で公然と争うことになったのだ。
まず、ヌエボ・レオン州知事がテスラ社との秘密保持契約に失敗した(実際には、同社が投資を決定するまでこの話題に触れるべきではなかった)。アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は、水不足という不当な理由でヌエボ・レオン州での工場建設に拒否権を発動することで、イダルゴ州に工場を誘致し、フェリペ・アンヘレス空港の建設を復活させようと試みた。
そして、いくつかの州の知事も、まるで市場への出店を争うかのようにこの論争に加わってきた。イダルゴ州の知事は、自分たちの方が良い条件を提示していると主張した。ベラクルス州知事は、すでに工場建設の準備ができていると発表した。ミチョアカン州政府は、「テスラ工場受け入れ準備完了」という公式キャンペーンを開始した。プエブラ州では、伝統工芸であるタラベラ焼きの絵が描かれたテスラ車で同社にアピールしたほどだ。
ハリスコ州、タバスコ州、タマウリパス州、ドゥランゴ州の政府もこれに加わった。サン・ルイス・ポトシ州知事は、エンリケ・ガリンド市長とどちらがテスラとの交渉を担当するか公然と争った。
サラマンカ市長は、失敗したペメックス製油所の跡地を提供すると提案した。
トラスカラ州はメキシコの中心地であることを利点として強調し、ベラクルス州は2つの海に面していることを主張。一方でプエブラの連邦議員は、イーロン・マスクに伝統料理「モレ」を振舞うとアピールした。
あぁ、なんということだ。