小林 明子
日本レオン領事館 首席領事
去る7月、レオン市カルカモス公園でレオン市による「Festival de las Naciones」が開催されました。このイベントには、日本、ドイツ、スペイン等の外国コミュニティが参加し、それぞれの国の文化紹介が行われました。今年が初めての開催でしたが、合計1500人もの市民が足を運びました。
日本スタンドでは、日本食と箸、団扇の販売を行いました。一番人気であっという間に売り切れてしまったのが、団扇で、日本語(漢字)で名前を書いてもらうサービスが大変好評を得ました。
日本語というのは、メキシコ人にとって大変魅力があるようですが、実際に日本語を勉強することはとてもハードルが高いようです。しかし、この高いハードルを乗り越えて日本語を着実に学んでいる優秀なメキシコ人も多くいます。
去る7月1日、グアダラハラの日墨文化交流学院で開催された日本語教師のための短期集中講座の開会式に出席した時のことです。この講座は毎年行われているもので、メキシコ国内のみならず、グアテマラやコスタリカ、遠くはトリニダッド・トバゴからも参加していました。特に驚いたのは、日本人の日本語教師のみならず、メキシコ人等、日本語を母国語としない方が数多く参加していることでした。メキシコにおける日本語教育は確実に根を張りつつあるのを実感しました。
また、開会式の後に同学院の生徒達がグアダラハラの中心街を日本語で案内して下さったのですが、この生徒達の日本語レベルもとても高く(“主柱(おもばしら)”なんていう単語まで使いこなしていました!)、日頃の先生達の努力、生徒達の日本に対する情熱に感動しました。一人の男性は、短期間レオンの日系企業で働いていた事があり、日本式の仕事ぶりが大変だったが、日本語のみならず、日本文化全般について学ぶことが出来た貴重な機会となったと語っていました。
バヒオ地域における日本語の出来る人材不足は深刻な状況にあり、毎日のように「良い通訳さんはいませんか」という相談を当館で受けることがあります。グアダラハラで会った生徒達は、まさにこうした戦力となりうる人材であり、将来の日本とメキシコの架け橋となる心強い味方です。バヒオ地域で増える日本人コミュニティを支えるのは、こうした仲介役となれるメキシコ人の友人であり、大切な財産だと思います。
レオン市はグアダラハラほどの歴史は残念ながらありませんが、大学や市が開催している日本語コース等があります。日本語を身につけたメキシコ人はバヒオ地域で引く手あまたです。確かに日本語を書くこと、読むことは難しいかもしれませんが、日本語を話すことはそれほど難しくはありません。是非勇気を持って、日本語学校の扉を叩いてみて下さい!