嗅覚は人類の生存を可能にしたが、香りと精神効用との関連はまだ未開拓な分野である。
世界的に流行したパンデミックにより、人類はこれまでほぼ無関心だったことを再認識することになりました。その一つが「嗅覚」です。新型コロナの初期症状の一つは、この嗅覚の喪失です。そして、歴史上、嗅覚は私たちが知る社会の進化には欠かせないものでした。
しかしながら、香りがもたらすであろう、神経系へのプラスの影響については、ほとんど研究されていないのが現状です。
故郷を思い出す香り、気持ちを落ち着かせる香り、特定の花の香りに包まれた空間で過ごす幸福感など、感覚だけでなく、脳レベルでも大きな効果が期待できるのです。
鹿児島大学の研究者は、ラベンダーに含まれるリナロールという成分の抗不安作用をマウスで実験しました。この研究成果は、専門誌「Frontiers in Behavioral Neuroscience」の2018年10月号に掲載されました。
研究チームのリーダーである柏谷英樹講師は、「La Vanguardia」紙に、「リナロールを嗅ぐとバリウムを飲んだような効果があった」と報告していますが、副作用はありません。
古くから民間療法では、植物エキスから得られる芳香成分に、癒しやリラックスの効果が見いだされてきました。そして、ラベンダーには抗不安薬としての効能があることが確認されています。
アロマコロジー(芳香心理学)とは、香りが人間の精神状態に及ぼす変化との関係を研究する新しい科学分野です。
ラベンダーの香りが、掃除用洗剤や家庭用芳香剤などの「広告手段」として使われているのは。偶然ではありません。
実際に、科学で認識されるずっと以前から、ハーブの伝統的な自然療法として、このラベンダーの微妙な香りが、不眠症などの睡眠障害の治療薬(枕元に2,3滴たらすと良い)、あるいは頭痛の鎮痛剤として含まれていたのです。
観光客を魅了する香り「ラベンダー」
グアナファト州では、日本の北海道と同様にラベンダーの風景が観光地として定着しており、自撮り用のユニークなフレームを提供している。
「ファーム富田」がある北海道富良野町は、ラベンダーを主な観光資源としている。富良野地方でラベンダーの大量植栽が始まったのは1950年代。しかし、多くの生産者が転向し、ラベンダー栽培を続ける人はわずかだった。
現在のファーム富田は、初夏のラベンダー畑が見ごろを迎える時期になると、主要な観光スポットの一つとなる。
北海道から1万304Km離れたグアナファト州ドローレス・イダルゴ近郊のラス・コロラダスでは、2005年の干ばつで被害を受けた地域で、ラベンダー栽培を活かした社会経済活動を展開している。
現在では、持続可能な農業を推進するもう一つの観光名所として定着させることを目指している。さらに、あらゆる地域を美しく彩り、栽培地域の経済・社会発展の源ともなるこの美しい紫色の植物が持つ、あらゆるメリットを普及させることも目的としている。