チレ(唐辛子)はメキシコ料理に欠かせない食材で、メキシコ人はほぼ毎日チレを食している。チレはサルサの調理や、さまざまなメキシコ料理に使われる。
メキシコには約50種類のチレ(唐辛子)があり、味や辛さもそれぞれ違います。
生唐辛子と乾燥唐辛子があり、面白いことに同じチレでも生のものと乾燥させたものでは、呼び方や味も異なります。
一般的に、生唐辛子はビタミンCが豊富で、乾燥唐辛子にはビタミンAが多く含まれています。
チレは通年収穫されており、通常のお店やスーパーで手軽に手に入ります。
乾燥唐辛子は生唐辛子に比べて味がまろやかで、辛味も少なめです。乾燥唐辛子はサルサやモレの調理に最適です。
生唐辛子には黄色や緑色など様々な色のものがありますが、乾燥すると茶色か赤褐色へ変化します。
今回は特に人気のある乾燥、生唐辛子それぞれの特徴や、生の唐辛子を乾燥させていく過程でどのように全く別の乾燥唐辛子に生まれ変わるのかをご紹介します。

ハラペーニョは90パーセントの確率でメキシコ料理に登場する。この人気のチレは1970年にメキシコで開催されたサッカーワールドカップで公式マスコットキャラクターにもなった。
少し丸みを帯びたハラペーニョは、とても辛いもの(茶色の線がある)や、それほど辛くないもの(全体が緑色)など様ざまである。そのまま食べたり、みじん切りや千切りにして料理に添える。サルサ・ベルデにもハラペーニョが使われる。
ハラペーニョを乾燥し、燻製にしたものがチレ・チポトレである。表面はしわが多く、薄い茶色。味は少し甘めで、サルサやアドボソース(辛くないモレ・サルサ)、そしてスープや煮物などの調理に用いられる。缶詰で売られていることが多い。

チレ・セラーノは最も辛い唐辛子の一つで、きれいな緑色をしていて丸く小さい。そのままかじって食べることもしばしば。鈴木康久レオン前総領事はチレ・セラーノを丸かじりするのがお好きだったとか。
この唐辛子は、ピコ・デ・ガジョ(トマト、玉ねぎ、チレ・セラーノで出来たサルサ)と呼ばれるフレッシュサルサに使われる。メキシコではとても人気のある唐辛子。
チレ・セラーノを乾燥させると濃い赤色に変わり、プージャと呼ばれる乾燥唐辛子になる。辛いサルサや煮物に用いられ、メキシコのタコス店では必ず置いてある「サルサ・タケラ」と呼ばれるソースには欠かせない食材である。

緑色の大きなチレで辛味は少なめです。ポブラノは肉詰めやチーズ詰めに用いられ、「チレス・エン・ノガダ」はメキシコの人気メニュー。
ポブラノが乾燥すると「アンチョ」というチレになる。赤褐色でざらざらした質感のあるこの唐辛子は、少し甘味がある。肉詰めやチーズ詰めに調理されることもあるが、モレの材料として使われることが多い。

細くて長いチラカは、濃い緑をしている。辛味は少なく、肉料理や、タコス、タマレスなどに添えられることが多い。
チラカが乾燥すると色が濃くなり表面もしわしわになることから、レーズンやプルーンに似ているのでチレ・パシーヤと呼ばれる。細長く、味はまろやかでドライフルーツの味や燻製味も同時に楽しめる。

チレ・ミラソルは真っ赤な円錐形の唐辛子で、表面は滑らか。フレッシュサルサに辛味を加えるのに用いられ、煮物やモレの調理にも使われる。
乾燥するとチレ・ワヒージョと呼ばれ、メキシコで最も使用される唐辛子の一つである。赤褐色でマイルドな辛さのワヒージョは、主にポソレや、エンチラーダ、スープやモレなどに使用される。また、他のチレと合わせてサルサ・ロハ(赤色サルサ)の材料として用いられる。