バレリア・バラハス メキシコ・米国・カナダ協定 (T-MEC)の見直しは、経営者 や投資家の間に疑問を生じさせ ています。これに対しグアナファ ト州政府は声明を発表し、同協 定は引き続き有効であり、北米 における貿易拡大を可能にして きた規則に変更はないことを明 確にしました。 今回の見直しは、2020年の T-MEC発効時に定められたメ カニズムの一環であり、協定の 破棄や貿易上の優遇措置の停 止を意味するものではありませ ん。3カ国間で交渉が進められ る間も、関税の優遇措置、原産 地規則、および貿易取引を規制 する法的枠組みは引き続き有効 となります。 州政府は、州内で操業する 企業への確実性を維持するた め、連邦政府、経済団体、そして 投資家と常時コミュニケーション を図り、見直しの動向を追うとと もにタイムリーな情報提供を行っ ていると報告しました。 グアナファト経済における T-MECの重要性は極めて高 く、2025年の同州の輸出額は 379億8,800万ドルに達し、国内 第6位の輸出州としての地位を 固めました。州内には1,972社 の輸出企業があり、その83%を 中小零細企業が占め、製品は 138カ国に届いています。さら に、米国とカナダはグアナファト 州において62億6,400万ドルを 超える共同投資を行っており、3 万6,000人以上の雇用創出を約…
サン・ミゲル・デ・アジェンデで暮らす長崎の被爆者
バレリア・バラハス 1945年8月9日、長崎に原子爆弾が投下された とき、山下泰昭(やました やすあき)さんはわず か6歳でした。爆心地からわずか2.5キロの場所 で被爆した山下さんは、街の大部分が破壊され る様子を目の当たりにし、その人生は永遠に変 わってしまいました。 原子爆弾の被害を受けた人々は「被爆者」と 呼ばれ、山下さんもその一人です。戦後の後遺 症や差別に直面しながら育った山下さんは、数 十年後にメキシコで第二の人生を見つけること になるとは、当時は知る由もありませんでした。 1950年代から60年代にかけて日本で流れ ていたメキシコ音楽、特にトリオ・ロス・パンチ ョスのボレロに魅了された山下さんは、スペイ ン語を学ぶことを決意します。そして、その語 学力が思いがけないチャンスをもたらしまし た。1968年のメキシコオリンピックの際、通訳 や選手・メディアのサポートスタッフとして日本 選手団に同行し、メキシコへ渡ることになった のです。 山下さんはメキシコで、予想もしていなかっ た温かさに出会いました。それは、偏見なく自 分を受け入れてくれる社会であり、「長崎の被 爆者」という枠を超えて、新しいアイデンティテ ィを築ける場所でした。やがて山下さんはメキ シコに留まることを決め、帰化してメキシコ国 籍を取得しました。 渡墨当初はメキシコシティに暮らしていまし たが、後にサン・ミゲル・デ・アジェンデへと移住 し、この街が終の棲家となりました。山下さんは ここで絵画や陶芸に取り組み、芸術家としての 才能を開花させました。これらの創作活動は、 戦争による心の傷を癒やすプロセスでもありま した。 長崎の悲劇から約80年が経った今、山下泰 昭さんは、核の大惨事を生き抜いた人々の記憶 を未来へつなぐため、自身の体験を本や出版プ ロジェクトを通じて発信し続けています。
ラテンアメリカ最大規模の自動車 サプライチェーンフォーラム
バレリア・バラハス 自動車サプライチェーンフォーラム(FPA) は、自動車産業のサプライチェーンへの新規 参入や、さらなるプレゼンス強化を目指す企業 にとって、戦略的なプラットフォームとしての地 位を確立しています。 2026年となる今回は、9月9日・10日の2日 間にわたり、ポリフォルム・レオンにて開催され ます。専門的なカンファレンスやネットワーキン グ活動に加え、プロセスのデジタル化から電 動モビリティにいたるまで、自動車業界を変化 させている最新トレンドを体感できる場が提供 されます。 2026年開催の予測規模 ●+2,000件以上のビジネス商談 ●+800社以上のバイヤー企業参加 ●+3,000社以上のサプライヤー企業 参加 ●+12,500人以上の来場者
破壊からイノベーションへ
バレリア・バラハス 1945年8月に広島と長崎に投下された原 子爆弾は、近代史において最も壊滅的な 惨劇の一つとなりました。何万人もの命が 奪われ、街は一瞬にして廃墟と化しまし た。 それから80年が経過した今、広島と長 崎は単に悲劇の記憶を伝えるだけの場所 ではありません。復興力、再建、そしてイ ノベーションを体現する象徴となっていま す。 広島では、原爆投下からわずか数ヶ月 後には復興へのプロセスが始まりました。 建築物の再建にとどまらず、広島は西日本 を代表する重要な産業都市へと変貌を遂 げたのです。世界本社を広島に置く自動車 メーカー「マツダ株式会社」は、地域の経 済成長を牽引する原動力となりました。同 社は数万人規模の雇用を生み出し、世界 中へ自動車を輸出しています。また、その 周辺には、高度な製造業、金属加工、ロボ ット工学、自動車部品などを専門とする何 百ものサプライヤーが成長しました。 マツダだけでなく、広島には造船業大 手の「常石造船」などの企業があるほか、 産業研究やイノベーションに直結した様々 な技術センターも集まっています。 一方、歴史的に日本と世界をつなぐ玄 関口として知られてきた長崎は、造船、エ ンジニアリング、重工業といった分野での 経験を活かして復興を推し進めました。こ の成長を支えた主役の一つが、19世紀か ら長崎に深く根ざしている「三菱重工業」 です。 今日、広島と長崎の両都市は、その発 展、生活の質の高さ、そして20世紀最大 の悲劇の一つを「レジリエンスの教訓」へ と変えた強さによって、世界中から高く評 価されています。
イノベーションとテ クノロジー:金属加 工産業の原動力
バレリア・バラハス 金属加工界の「ワールドカップ」へ向け て、準備は整いました。レオン市のポリフ ォルム・レオンにて、350社以上の出展者 が最先端技術を搭載した機械を携え、第 7回「EXPO MAQ」に集結します。本展示 会は、ビジネスチャンスの拡大、トレーニ ング、ネットワーキング、そして企業成長 を促進する絶好の場となります。 6月2日から4日まで開催されるこの金 属加工分野の世界的リーディング・エキ シビションでは、実働する工作機械、自動 化・ロボティクス、工具、産業用ソフトウェ ア、計測、品質管理などが展示されます。 展示エリアに加え、EXPO MAQでは 基調講演や、サプライヤー、バイヤー、意 思決定者間のビジネスを円滑にするスペ ースも用意されています。また、多彩な日 本ブランドの出展に加え、ドイツ、スペイ ン、中国、アメリカの国際パビリオンも設 置されます。 EXPO MAQのディレクターであるビク トル・サンティアゴ・バルガス氏は、バヒオ 地域のビジネスコミュニティに対し、来場 と商談を呼びかけています。「メキシコに いながらにして、最高峰のテクノロジーを 見つけることができるのです。」 EXPO MAQは、金属加工、自動車、航 空宇宙、医療機器、電子機器、家電など の分野の専門家や企業を対象としていま す。「当展示会は、あらゆる産業が最先端 技術を見つけるためのプラットフォームで す」と語るバルガス氏。期間中、1万2,000 人以上の来場者が見込まれています。
レオンにて第17回メキシ コ全国日系人大会開催
5月29日から31日にかけて、第17回 メキシコ 全国日系人大会(CONANI)が、バヒオ日系 人会の主催により、グアナフアト州で初めて 開催されます。 本大会の目的の一つは、日本文化に親しむ 機会を提供することです。期間中、ブンカフ ォーラム内のビセンテナリオ劇場にて、一般 公開(無料)の3つの大きなイベントが開催さ れます。 ※チケットはチケットマスターにて 入手可能です。 Taichi & Komaki コンサ ート 5月29日(金)17:00~ 日本の若き2人の才能が、 打楽器と伝統楽器 でる三味線を駆使 し、エネルギーに 満ちた現代的な 楽曲を演奏。 演劇「絆-Kizuna 」-プ レ ミア 上 映 5月30日(土)18:00~ ポルフィリオ・ディアス 政権時代における「榎 本植民」の知られざる 歴史から、両国を繋ぐ 多様なメキシコ日系社 会の確立までを辿る。 驚 き、勇 気、愛…
レオン商工会議所、1世紀を 超える企業リーダーシップ
「私たちは900社以上の会 員を擁しており、その85%は 小規模・零細・中小企業で す。このような会社は地域商 業の屋台骨です。」 アレハンドロ・アレナ レオン商工会議所会頭 創立112年の歴史を持つレオン商工会議所 (CANACO)は、サービス業や観光業を含む 900社以上の会員を有し、グアナフアト州で最も 多くの会員を擁する経済団体です。 会頭のアレハンドロ・アレナ・バロッソ氏 は、ココ・メキシコのインタビューで、加盟企 業は約3,000の事業所を代表し、16,000人 以上の雇用を創出していると述べました。 州の治安に関するイメージは大きな影響を与 えていますが、レオンは比較的健闘しました。特 にビジネス観光分野は大きな可能性を秘めてい ます。なぜなら、当市には一流の施設と優れた宿 泊能力があるからです。 また、医療・ウェルネスサービスも、その高い 品質とインフラにより非常に高く評価されていま す レオンは成長を続けている都市であり、メキシ コの中央という優れた立地条件を活かして、既存 商業および観光分野を通じて、多様な商品・サー ビスを提供しています。その内容はバヒオ地域の 他都市を上回る水準にあります。 私たちは商業者・企業家と、地方・州・連邦の 各政府機関を結ぶ架け橋です。 会員向けにサービスフェアを開催し、その場で 課題解決の支援を行っています。社会保険庁、税 務当局、州内最大50の公的機関の代表を招き、リ アルタイムで手続きを支援しています。これらの 手続きは無料で、商工会議所の会員でなくても 一般の方に完全に開放されています。 商業セクターを守り、可能な限り強固で団結 した状態を維持することです。私たちは日々さま ざまな逆風に直面しています。特に非公式商業 や、投資に不確実性をもたらす連邦レベルの政…
桜とハカランダ―春を告げる二つの色彩
同じ春のころ、地球の両側で街を彩る花があ ります。 日本では桜が、メキシコではハカランダが 咲き誇ります。淡い桃色と鮮やかな紫。色合い は対照的ですが、どちらも春の訪れを告げる 存在です。 日本の桜、特にソメイヨシノは、葉が出る前 に一斉に花を開きます。その姿は華やかであ りながら、どこかはかなさを感じさせます。満 開ののち、花びらは風に舞い、川面や歩道を やわらかく染めていきます。花見の席で人々 は語り合い、卒業や入学といった出会い や別れの思い出にも、桜の風景が重 なります。桜は、季節の花というだ けでなく、日本人の気持ちや人生 の節目と深く結びついた特別な存 在です。 一方、メキシコの通りを紫色に 染めるハカランダは、強い日差し の中で力強く咲きます。小さな花が 房になって枝いっぱいに広がり、青い 空によく映えます。花が散ると、地面は紫色 に覆われ、街全体が明るく華やいだ雰囲気に なります。 桜が「はかなさ」や静かな美しさを感じさせ る花だとすれば、ハカランダは元気さや生命 力を感じさせる花だと言えるでしょう。 メキシコに暮らしてほぼ四半世紀がたった 今でも、春になると日本の桜を懐かしく思いま す。しかし、街に咲くハカランダを見上げるた びに、その寂しさは少し和らぎます。 どちらの花も街の中にしっかりと根づき、人 々の生活の大切な場面に寄り添っています。 色も育った文化も違いますが、花が咲くと、私 たちは思わず足を止め、春が来たことを実感 します。桜とハカランダは、遠く離れた土地 で、それぞれの春を静かに、そして鮮やかに 祝福しているのです