マツダは一時間に50台の車を生産
メキシコ・マツダの水谷智春社長兼CEOはメキシコの自動車産業クラスターがタイのようになっているので「デトロイドのようになるかもしれませんね」と語った。
水谷社長はマツダに36年勤務していて日本ではマツダの原価企画部長を務めた。
現在はメキシコ・サラマンカにある、マツダにとってアメリカ大陸で唯一の工場で指揮を取る。
水谷社長は年間20万台の自動車生産を管理している。社員(オペレーター)は5200名。工場は1分に1台の自動車生産能力を持っている。
多くの会議で分刻みのスケジュールの中、私たちココメキシコのインタビューに答えてくださった。
メキシコ、グアナファトの印象はどうですか。
みなさんとても親切で日本人コミュニティーに理解があります。
グアナファトで生産される車の品質はどうですか?
ここではMazda 2 と Mazda 3の生産をしています。Mazda 2は日本やタイでも生産していますが どの国でも同じ品質です。Mazda 3は日本とメキシコで生産しています。品質が同じで生産地が違うだけです。どこで販売されるか決まっていません。
メキシコ人はもっとマツダの車に乗るべきですか?
マツダはメキシコで大変ポピュラーになりました。メキシコで一番を目指したいですね。
メキシコに赴任される前はどちらにおられましたか?
広島で原価企画部長を務めていました。
メキシコ行きを決定されたのは?
大きな目標で大変価値ある仕事の任命を受けました。思いがけないことでしたが、大変に光栄なことだと思っています。
この規模の工場は世界にいくつありますか?
日本に2つと、中国北部、フォードと提携したものがタイにあります。マレーシアとベトナム、ロシアに組立(CKD)工場があります。
グアナファトの工場はどれほどの規模なんでしょうか?
大変重要な拠点で規模は一番大きいです。
マツダグループレベル、世界レベルで生産の最大拠点です。アメリカ大陸で唯一の工場です。
グアナファトのマツダ工場はどのような洗練された技術がありますか。
この工場は最も先駆的で生産過程は最新のテクノロジーで管理され
日本と同レベル、もしくはさらに上のレベルです。日本では出来ない手作業での工程もあります。人材が豊富なメキシコだからこそ
できることです。
メキシコの労働者はどうですか?
すばらしいです。ほとんどの人が
自動車産業とは無縁であったのに
習得するのが早いですね。
女性も活躍されていますか?
はい、多いですよ。組立工場では約40%が女性で会社全体では26%が女性です。女性の活躍は欠かせません。
日本人とメキシコ人のコンビネーションはいいですか?
日本からの派遣員は知識を伝えようという明確な意図を持っており、メキシコの方たちには、それを吸収し覚え、成長したいという姿勢と願望があります。
グアナファトのマツダが発展していくためのポイントは?
日本から来た人は自動車生産の経験を長期に積んだ人達で、メキシコの人達は車を生産するのは初めてですが、覚えたい、成長したいと願望している方々です。
キーとなるのは、相互の尊敬だと思います。お互いへの尊敬がある時、知識の伝達は早くなります。
グアナファトを工場に選んだのはどうしてですか?
ここは地理的に便利なんですね。
メキシコの中央部で海にも近く輸出するのに適しているからです。
北米や南米、ヨーロッパへ輸出するのに便利です。アグアスカリエンテスには日産、シラオにはGMがあり部品産業の集積も進んでいました。
この地域で自動車産業はどこまで成長すると思いますか?
もっと大きくなるでしょうね。成長への余地はまだまだあると思います。マツダも、しようと思えばこの工場を倍の大きさにするだけの用地があるんですよ。
この地域はタイやデトロイドのようになりますか?
もうすでにタイのようですね。
デトロイドの規模まで行くことも可能でしょうね。労働ベースはとでもよいので。
この工場で何台の車が生産できますか?
25万台の生産が可能です。
現在20万台の生産を行っています。1分間に1台の車を生産できる能力があります。現在は生産計画に沿って、1時間に50台の生産を行っています。
トヨタやホンダがやって来たのはメリットですかデメリットですか?
両方ですね。生産の上ではメリットですし、販売の上ではライバルですからね。でも工場が遠くにあっても近くにあってもいつも競争相手であることに変わりありません。