メキシコで親しまれている「日本風ピーナッツ」は実はメキシコ産であり、日本では「メキシカンピーナッツ」として知られている。
メキシコでバーへ行くと必ずおつまみに日本風ピーナッツが出てきますが、この人気のスナックは70年以上も前にメキシコ在住の日本人・中谷由平さんによって考案され、メキシコシティのラ・メルセ地区で生産が始まりました。
中谷さんは1932年に渡墨し「エル・ヌエボ・ハポン」という貝ボタン工場で働き始め、2年後にはメキシコ人女性エマ・アビラ・エスピノサさんと結婚しましたが、1939年に第二次世界大戦が勃発したため工場は閉鎖され、やむなく他の収入源を探すことになりました。
まだ若かりし頃に故郷の兵庫県洲本市で勤務していた菓子工場で、豆の外側を味付きの小麦粉で包んだ「豆菓子」を製造していたことを思い出し、早速メキシコにある材料でピーナッツを醤油ベースの衣で揚げ、甘じょっぱい味に仕上げると、ラ・メルセ近辺の住民を発端として、日本風ピーナッツはまたたく間に人気が出ました。
中谷さんは「Nipon」という会社を設立し、工場を建設して市場シェアを占有していましたが、その後大手企業が同じく日本風ピーナッツの生産を始め、次第に売上は減少していきました。
長い間日本からやって来たと考えられていたこのスナックが、日本ではメキシカンピーナッツと呼ばれているとは、とても面白い発見でした。