日本の創世神話には、愛し合いながらも疎遠になっていた二人の神の物語があります。
イザナミ(女神)が病気で亡くなり、黄泉(死者の世界)へ去ってしまいます。イザナミを追うイザナギ(男神)は黄泉へ入って、愛する妻を必死に探します。他の神々から「探すのは良いが、彼女を決して見ないように」と進言されるものの、イザナギはその約束を守らず、イザナミの姿を見てしまいます。
黄泉の国の物を食べたイザナミは、すでに体が腐敗した状態でした。その姿を見て恐ろしくなったイザナギは、その場を逃げ去り、なんとか生還します。そして水辺で身を清めるために禊(みそぎ)を行いました。
その時から、日本人にとって毎晩お風呂に入り、清潔に保つことが日常となりました。温泉(公衆浴場)では、男性用と女性に分かれており、それぞれ浴槽の外の浴場で体を洗ったあとで、浴槽に入るというしきたりがあります。
日本の慣習である入浴は、イザナギがお祓いを受けたと言われる古来の言い伝えに由来しており、日々の生活の中で儀式的で神聖な感覚を保ち、日本人が清潔である所以なのです。
アンドレア・ナバレテは疲れを知らないメキシコ人旅行家。今回、彼女が日本を旅行した際の経験や魅力的な日本文化への愛着を語ってくれた。