指示を仰ぐ VS 判断を委ねる
筆書「現役通訳夫婦が見たメキシコ自動車産業と今後」では多くの共感・納得の声を頂いていますが、本シリーズは著書に書き切れなかったこぼれ話&メキシコ人向けの内容でお届けしていきます。
第10回目は「昇給」です。令和の時代ではもはや死語になったと言っても過言では「終身雇用」。確かに制度そのものは崩壊しているかもしれませんが、今でも日本企業で根強く残っているのが経年数による昇給です。(年功序列で自動昇給していた名残でしょうか・・・微々たるものであるかどうかは別問題として)
実はメキシコでは、「役職や役割が変わらないで年度(経年)昇給」と言うのは意外にありません。
あるとすれば前年の成績がずば抜けて良かったという青田買い評価か、法令に基づいたインフレ調整+αで少し増える程度です。その事をメキシコ人は理解しているので、給与交渉の場面ではほぼ間違いなく①自分が会社に貢献して来た事②今より上の役職・役割を全う出来る③だから昇格(給料を上げてとは言わない)させて欲しい、という順序で説得しようとします。
現代の日本では、昇給はしたいけど昇格はしたくない、管理職になりたくないという人が多いと聞きますが、リスクを取らずに実を得る事は無い、いや、リスクを大きく取らなければ千載一遇のチャンスすら巡ってこないと言う植民地時代が長かった歴史を持つメキシコ人のハングリー精神には学ぶものも多いのではないでしょうか。