指示を仰ぐ VS 判断を委ねる
筆書「現役通訳夫婦が見たメキシコ自動車産業と今後」では多くの共感・納得の声を頂いていますが、本シリーズは著書に書き切れなかったこぼれ話&メキシコ人向けの内容でお届けしていきます。
第9回目は「相談」です。報連相の内、メキシコ人は相対的に相談するのが不得意であると言われています。通訳をしていると会話の内容は主に日本人駐在員と部署長、班長間のケースが多いのですが、よく日本人駐在員が言うのは「報告だけではダメ!原因究明や対策、その先に起こり得る状況を把握してから来い!」と叱責する場面に出くわします。
その後、日本人駐在員から決まって発せられるのは「これでは何の判断も出来ない」という一言です。
しかし、この考え方は少し「求める方程式のミスマッチ」だと思います。
筆書でも触れていますが、メキシコ人の気質は「何でこんなことをしたんだ!(なんで自分で判断して勝手にやったんだ!)」と、「なんで今まで何もしなかったんだ!」と2つ怒られる選択肢がある場合、後者を選びます。
但し、まったく考える事を放棄しているわけではありません。「貴方はどう思う?(どのような対策を考えている?)」と聞けば、何かしたらの回答は用意していおり、的を得ている事をあります。
ストーリーとして理想の展開は、①現状の報告を行う、②上司から対応指示を仰ぐ、③指示に基づき対応しつつ、聞かれた場合の対策を頭の片隅で用意し始める、④指示の対応経過(結果)を連絡する⑤上司に判断を委ねる。
つまり「報指連断」(ほうしれんだん、奉仕連弾)です。なぜこうなるかというと、メキシコ人は「仕事とは上司に奉仕する事(上司に尽くす事)」、「判断は給料を高くもらっている人が行うもの(責任の重さ=給料の高さ)」という考え方を持つ人が多いです。長い植民地時代に主人(白人)に仕える事が多かった名残なのかもしれません。